2009年6月14日日曜日
[続・野鳥] 異常増殖中:ホワイト・アイビス
● ホワイト・アイビス Australian White Ibis
続・野鳥とあそぶ:異常増殖中、ホワイト・アイビス
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ブッチャーバード、クーカルに続いて3番目にバックヤードに来た鳥がご存知アイビス。
なにしろ板塀に囲まれた15坪くらいの狭い庭だ。
そこへ降りてくるというのは、大きな鳥では勇気がいるだろう。
アイビスはなんのその、づうづうしくもやってくる。
住まいを探してこのタウンハウスを見にきたとき、最初にここでみたのもこの鳥。
タウンハウスの前の歩道に悠然といた。
何しろ大きい、白くて目につく。
特徴のある湾曲の長いくちばし。
人を恐れず、近くまでやってくる。
「野鳥と遊ぶ」で書いたが、この鳥、現在、異常増殖中。
「繁殖」ではないのだ、「増殖」である。
よって、街のどこにでもいる。
そして「嫌われ鳥」「ゴミバコ鳥」でもある。
その名の通り、ご愛嬌でゴミ箱の上にいる写真を載せておきます。
黄色の蓋がリサイクル用、グリーン蓋が一般用。
この程度ならまあ何とか可愛い。
が、こうなってくる。
ここは市営のゴミ捨て場。
ここにアイビスが群れている。
下に載せた写真でざっと数えても13羽はいる。
拡大して、ためしにカウントしてみてください。
あの嫌われ鳥ナンバーワンのカラスですら3羽、ナンバーツ2のマグパイは姿もない。
だがピーウイーが2羽いるのが不思議。
可愛いピーウイーはマグパイより汚らしい鳥であったとは。
ゴミの山にカラスを上回ってアイビスがいるという事態。
あまりにも増えすぎ、腹をすかせたアイビスはエサを求めてゴミの山を突っつきまわす。
異常と言わずして何と言わんや。
昔、「猿の惑星」という映画があった。
「ドラエもん」では「犬の惑星」というアニメが夏休みに封切られた。
早晩、この地区は空腹で凶暴化した鳥に占拠され、「アイビス街区」として独立を達成するかも知れない。
バックは「グリーンピース」か。
ところで、この鳥の和名は「オーストラリア・クロトキ」である。
「トキ」である。
トキとなれば、日本の絶滅寸前のトキを思い出す。
Wikipediaで見てみる。
『
トキ(朱鷺、鴇、鵇、学名:Nipponia nippon )はコウノトリ目トキ科の鳥の一種。
以前は東アジアに広く分布しており珍しくない鳥であったが、19世紀後半から20世紀前半にかけて激減した。
野生では中国の陝西省に約500羽が生息しているほか、2008年9月に日本の佐渡島において人工的に繁殖された10羽が放鳥された。
飼育下では2009年2月現在、中国に約600羽、日本に111羽、韓国に2羽がおり人工繁殖が進められている。
学名はNipponia nippon(ニッポニア・ニッポン)であり、しばしば「日本を象徴する鳥」などと呼ばれるが、国鳥ではない(日本の国鳥はキジ)。新潟県の「県の鳥」、佐渡市の「市の鳥」である。
体長は約76センチメートル、翼開長は約130センチメートル。
朱色の皮膚が露出している顔、トキ亜科特有の下方に湾曲したくちばし(黒色。ただし先端は赤い)、後頭部にあるやや長めの冠羽が特徴である。
全身は白っぽいが、春から夏にかけての繁殖期には首すじから黒い分泌物が出て、これを体に塗り付けるため頭から背のあたりが灰黒色になる。
水浴びなどの後にその擦り付けを行うため、水浴び直後は特に濃く、ほとんど黒に近い。
翼の下面は朱色がかった濃いピンク色をしており、日本ではこれを「とき色」(朱鷺色)という。
脚も頭と同様に朱色で、虹彩は橙色。
幼鳥は全身灰色で、頭部が黄色である。
サギ類が飛翔時に首を折り曲げるのに対し、トキは首を伸ばしたまま飛ぶ。
また、クロトキなどとは異なり、飛翔時に脚の先が尾羽から出ない。
』
つまり、日本のトキは「朱鷺」であり、アカトキである。
「朱色の皮膚が露出している顔」とあるが、アイビスの皮膚は二重になっており、表面はクロだが、裏はアカである。
頭を曲げたときなど、横縞にその赤を見ることができる。
下の写真を拡大すると、頭の後ろにそれが見えます。
また、「翼の下面は朱色がかった濃いピンク色をしており、日本ではこれを「トキ色」という」とある。
アイビスの翼の下は白であるが、付け根あたりは、これも赤である。
羽を広げたときに見られる。
「全身は白っぽいが、春から夏にかけての繁殖期には首筋から黒い分泌物が出て、これを体に塗りつけるため、顔から背のあたりが灰黒色になる。
水浴びなどの後で、その塗りつけを行うため、水浴び直後は特に濃く、ほとんど黒に近い」
とあるが、塗りつけた黒い分泌物がそのまま表皮になって固定したのがアイビスということになる。
アカトキは絶滅し、クロトキは異常増殖している。
どういうことだろう。
クロトキは名前とは逆にホワイト・アイビスであり、「アカ勝て、白勝て」では、白の勝ちということになる。
● ペリカン餌付けの行われるレクレーション・エリアで
● ビゲラ・クリークで
話はかわるが、足を悪くした鳥はけっこうみかける。
「野鳥と遊ぶ」ではマイナーとウッド・ダックを取り上げた。
このアイビスも足を悪くして地面にうずくまっている。
よほど近くまで寄らない限り逃げない。
● 前の空き地で、うずくまっているアイビス:望遠で
● 近くによっても逃げない
クリーク沿いを歩いていると、鳥の死骸に出会うことがある。
アイビスの死骸にも出会った。
鳥の死骸はアットいう間に消える。
他の動物のエサになってしまうのだろう。
● マグパイの死体
ためしに、ブロイラーの骨や内臓を排水緑地の木の下に置いておいた。
一晩たったらきれいになくなった。
内臓はわかるが、骨もである。
骨も食われてしまう。
早晩、このアイビスも他の動物のエサになってしまうことだろう。
下の写真は、片足を失ったカモメである。
見ていると他のカモメはこの鳥を追い払おうとする。
いわゆるイジメをやる。
可愛そうにと思うが、それが自然の摂理なのであろう。
獲得できるエサが回りより少ない。
仲間がこの鳥のためにエサを運んではくれない。
去り行く時が目の前に待っている。
● 片足のカモメ
[注].
『野鳥と遊ぶ』で「日本からきたワルガキが肉の中にタップリと芥子を仕込んで、投げたらアットいう間に飲み込んだ。そしてすぐにキイキキーと鳴いて飛んでいってしまった。」と書きました。
ものの本によると鳥には辛さを感じる味覚がないそうで、トウガラシを平気な顔で食べることができるそうです。
とすると、アイビスがキキーと鳴いて逃げていったというのは、芥子のからさではなく、何か別のものに反応して行動したということになります。
ここに改めて記しておきます。
[◆ その後 ◆]
地元のローカル新聞に載ったゴミ捨て場のアイビスの壮絶な勇姿。
『
● 「19,Aug,2009 Gold Coast Sun 」より
「Suntown Tip(ゴミ捨て場の名称)のゴミの山をひっくり返してエサを探すアイビス:アランデルの住民はゴミに食べ物が紛れ込んでいると信じている」
』
私の写真も同じ Suntown Tip で撮ったものです。
ずうずうしくも道路を横切るアイビス。
車、どこ吹く風である。
『
25today - 2009年10月25日
http://www.25today.com/news/2009/10/post_3918.php
「オーストラリアの環境取り組みは欠陥」
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ヘンリー財務相事務次官が異例の個人的発言
議院調査委員会で保守連合議員の挑発的な質問に淡々と答え、論破したことで世間の注目を浴びた財務省事務次官のケン・ヘンリー博士が、今度はビジネス・ リーダーの集まりで講演、個人的意見として、オーストラリアの環境取り組みは足りないと語り、財務完了としてはまったく意外なファンを獲得した。
10月25日付ニューズ・リミテッド系紙の報道によると、ヘンリー博士は、「過去10年に、4,960万頭のカンガルー捕殺許可が出ている。
その主な市場は家庭のペット・フードだ。
オーストラリアは自国の環境管理さえ満足にできず、環境との折り合いをつけることもできない。
人口2,200万人の現在でさえこの有様だ。
わが国の環境問題の歴史はお粗末な限りだ。
人口が3,500万になる時に、環境問題と有効に取り組む足場を固めているとはとても思えない」と語った。
このヘンリー発言に気を良くした緑の党のボブ・ブラウン党首がナイン・ネットワークに出演し、「カンガルー産業は確固とした規制が必要だ。ケン・ヘンリー氏は敬意に値するオーストラリア人だ」と語った。
また、「ヘンリー博士を緑の党に加えるつもりか?」と質問され、「もちろんそのつもりだ。緑の党は経済的に責任のある政党を目指している」と語った。
また、「緑の党が、連邦政府の経済刺激パッケージ法案支持を決めたのは、上院調査委員会で、ヘンリー博士が証言し、パッケージが国内雇用を守る政策であることを解き明かしたことがきっかけだ。
これからは、経済問題を考える際には必ず生態学的な要素も加えることが絶対重要条件になる」と語った。(AAP)
』
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